ホテルのオーバーブッキングについて

海外ではちゃんとホテルの予約をしたにもかかわらず「満室です」と言われるケースがあります。
なぜ予約したのに満席で宿泊できない事態になってしまうのか?これは海外のホテルの予約事情が絡んでいます。ここでは、ホテルのオーバーブッキングの仕組みや回避方法についてご紹介したいと思います。

ホテルでのオーバーブッキングってどういう意味

オーバーブッキング(ダブルブッキング)とは日本語で過剰予約という意味です。例えば、本来100室しかないホテルに、110件の予約を取るということになりますね。

「じゃあ10組は絶対に泊まれないでしょ?」という疑問がでてきますが、まさにその通りで、110件予約した人が全員ホテルに来たら、おっしゃる通り10組は泊まれなくなります。

日本では信用の問題もあるため、旅館を中心にあまりこのような予約形態をしている宿泊施設は少ないですが、海外ではごく一般的な予約方法です。

ホテル側は予約のキャンセルを見越して多めに予約を取る

ホテルを運営していると、少なくと何件かは当日や前日に宿泊をキャンセルする、いわゆるドタキャン(土壇場になってキャンセル)があります。

100室あるホテルに100件の予約を取っていては、当日になって10件キャンセルがあった場合、90室となってしまい、10室が遊んでしまいます。せっかくお客さんのために部屋を空けておいたのに、キャンセルされたら10部屋が無駄になってしまいますね。

そこで、過去の統計からあらかじめキャンセルするだろうと思われる分を見越して多めに予約を取ります。この日は普段からドタキャンが10件程度出ているホテルであれば、110件予約を取っておけば、仮に10件キャンセルが出たとしても、110-10=100となり、満室でホテルが回せるわけです。

見込みに対してキャンセル数が少ないと泊まれなくなる

しかし、キャンセルというのは変動しますから、いくら統計から計算したとしても誤差があります。今日は10件キャンセルがあるだろうと予測したのに15件キャンセルがあったり、5件しかキャンセルがなかったりしますよね。
キャンセル分が多い場合は、空き室が増えるだけなので私たち宿泊客にとっては特に問題がないですが、キャンセル数が少なかった場合は客室がなくなって泊まれなくなります。これがオーバーブッキングと言われるもので、予約をしているのに部屋がないという状態になります。

既宿泊客に連泊されて部屋がなくなるケースも

例えば、天候が悪化して飛行機が飛ばなくなってしまった場合などは、既に泊まっているお客さんが追加で連泊されることもあります。そうなると部屋が足りなくなるので、実質オーバーブッキングと同じような状況が起きます。 次に予約を取っている人から見れば「追い出せよ」と思いますが、ホテル側のルールなどもあり、なかなかそうはいかない現実があるようです。

オーバーブッキングは契約違反ではない

オーバーブッキングは世界的にも認められている免責事項となっているため、仮にホテル側から「満室なので今日は泊まれません」と言われても、ブツブツ文句を言ってもいいかもしれませんが、「誠意を見せろ!」「補償しろ」と言っても裁判では勝てません。

ホテル側の利益を守るという観点から、オーバーブッキングは合法で認められているのです。

オーバーブッキングの制度は飛行機でも同じような方式が採用されています。

オーバーブッキングされたら野宿しかない?

今までの話を聞いていると、「じゃあ仮にオーバーブッキングで泊まれませんと言われたら、外に放り出されて野宿なの?」と思われがちですが、実はそうではありません。

そんなことをしたらホテルが鬼同然になりますから、ちゃんと予約者の保護はしてもらえます。

オーバーブッキングされると近くの同グレードのホテルかワンランク高いホテルを案内されるのが一般的です。そこまでの足代(タクシー代)などはホテル側が負担してくれます。せっかくここのホテルがいいと聞いて来たのに…と思っている人も多いとは思いますかが、諦めて代替ホテルへ行きましょう。

そのホテル自体に宿泊できるものの、部屋がアップグレードされる場合や、逆に部屋のグレードが下がってしまったすることもあります。グレードダウンの場合は差額が返金されたり、ミールクーポンなどで補償してもらえます。また、しょぼい低グレードのホテルしか見つからない場合でも、差額を補償してもらえる場合があります。 アップグレードに関しては追加代などは不要です。

オーバーブッキングと宣告されたら?

不幸にしてオーバーブッキングだと言われたら、仕方がないのでまずはフロントスタッフと交渉する形になります。

怒ったり・怒鳴りつけるのは逆効果

前述しましたが、オーバーブッキングはホテル側の免責となっているため、ホテル側に謝罪の気持ちはあっても、保証する義務はありません。予約したホテルに泊まれないなど日本ではありえないことですが、怒鳴ったりするのは逆効果です。相手から「なんだコイツは?」と思われると、後の交渉もスムーズにいかなくなります。まずは謙虚・冷静な気持ちで交渉を開始しましょう。

何とか泊まりたいをアピールする

旅行雑誌やネットの記事などを見せたりして、「本当にこのホテルが楽しみで来たのに、何とかならないのか」など言って、自分はどれほどこのホテルを楽しみにしていたかをアピールするのも大切です。同クラスの部屋は空きがないものの、場合によってはアップグレードされた部屋は空いているかもしれません。交渉次第では高いランクの部屋へ回してもらえる可能性もあります。

近くのホテルを探してもらう

本当に空室がない場合は諦めるしかありません。ゴネても印象が悪くなるだけなので、気持ちを切り替えて代替のホテルを探してもらえましょう。

オーバーブッキングに備えてホテル側ではあらかじめ代替ホテルを用意している場合が大半ですが、 ホテルを替わるのを「トランスファー」と呼びます。条件がよければ上グレードのホテルに案内されることもあります。いくつか候補を出してくると思うので、ホテル名がわかったらその場で情報や口コミなどを調べてみてもいいですね。

リストにないものの、目星をつけている別のホテルがあるのであれば、「そちらのホテルに変更できないか」とお願いしてみるとの1つの方法です。

交通費や通信費などの請求

基本的にオーバーブッキングによるホテル側の損害賠償や慰謝料はありません。「精神的苦痛を与えたのでお金ちょうだい」と言っても出てきません。

しかし、そのホテルまでの交通費や、電話やネットを使った際の通信費は支給してもらることがあります。そのほか、タクシー無料券やバス無料券、ツアー無料券など、ホテル側でもある程度の誠意を見せてくれることもあります。

具体的な金額になる部分ですので、もらえる部分はしっかり主張してもらうようにしましょう。 これも感情的にならず、冷静かつ丁寧に交渉することが大切です。

最後にホテルにお礼を言って終了

「ホテル側が悪いのに何で礼を言わなければ」と思いがちですが、ここは冷静になってホテルのスタッフにもお礼を言って後にしましょう。

オーバーブッキングに引っかからないために

オーバーブッキングで満室です。と言われないためにはどうすればいいのでしょうか?ここでは引っかからないためのコツをご紹介します。

早めのチェックイン

これが一番ですね。チェックインさえしてしまえば、後のことは知ったこっちゃありません。とにかくまだ部屋が埋まらない早めの時間帯にチェックインしてしまえば、満室と言われる可能性は極めて低くなります。

遅くなりそうならホテルへ電話しておく

予定のチェックイン時間を遅れそうな場合や、そもそもチェックインの時間が遅い場合は、ホテルに電話を入れて「必ず泊まるので部屋を空けておいてください」と念を押しておくといいでしょう。予定チェックイン時間を遅れると、キャンセル扱いとされ、弾かれる可能性が高くなります。英語など言葉は大変ですが、電話1本いれておくだけでかなり違います。

身なりを整えてフロントへ

噂レベルですが、ホテル側が明らかなオーバーブッキング状態となっている場合は、身なりのよい客を優先して泊めるようです。Tシャツにジーンズでチャラチャしたような格好でチェックインすると、「コイツなら違うホテルへ飛ばしても問題ないだろう」と思われ、弾かれる可能性があります。

個人的に予約した場合は要注意

旅行会社のツアー客などや、団体旅行などでは、1組だけホテルを変えたりすると後々ややこしいため、ツアー客に対してはあまりオーバーブッキングで飛ばされることはないようです。
個人で予約した場合の方が、飛ばされる可能性が高いそうなので、個人で予約した方ほど、早めにチェックインするなど対策をしておきましょう。