
初めて海外旅行を計画していている人の大半は、旅行会社などが提供するパックツアーを考えていらっしゃるのではないでしょうか。
上級者になれば自由気ままな個人旅行というのもアリですが、それぞれどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。ここでは海外旅行のパックツアーと個人旅行の違いについてご紹介したいと思います。
添乗員同行のフルパッケージツアーとはどんなもの
パッケージツアーとは旅行会社が日程や宿泊先のホテル、観光地の見学などを計画・主催し、お客さんから募集する方式の旅行です。
移動から宿泊、観光や食事など一括して段取りしてもらえるため、観光客は集合場所に行ったり、飛行機に乗るだけで旅行に連れて行ってもらえます。海外旅行に慣れていないお客さんであれば、まず最初にパックツアーを利用するのではないでしょうか。
パックツアーといえば、日本の観光地によくあるようなバスガイドが旗をフリフリしながら、数人から数十人の観光客がぞろぞろ歩いている姿を想像してしまいますね。
今でももちろんそのような形態のツアーもありますが、最近では少人数で添乗員が付く高級志向のツアーもあります。
添乗員同行フルパッケージツアーのメリットとデメリット
添乗員同行パックツアーのメリット
不安な海外でも安心して旅行が楽しめる
添乗員同行のフルパッケージツアーの最大のメリットは、旅程に関しては丸投げできるということ。何も準備しなくても、宿泊や観光の手配をしてもらえるということは非常に心強いですね。特に日本から添乗員が同行すれば空港でついていくだけなので不安もありません。

効率的に観光地やグルメスポットを回れる

旅行会社は限られた時間で効率的に観光地を回るノウハウや経験があるので、個人で回るよりはるかに効率よく観光地を回れます。オプショナルツアーなどと組み合わせれば、手軽に難しいアクティビティなども楽しめます。
言葉を話せなくても問題ない

パックツアーの場合は添乗員や係員が空港からの送迎、ホテルのチェックイン、観光地での手続き、食事の手配などすべて行ってくれるため、個人でなにか現地人とコミュニケーションを取る必要がありません。唯一会話すると言えば、買い物くらいでしょうか。言葉に自信がなくても安心して参加できるのがメリットの1つです。
危険な目に合う可能性が低い
テロや事故などは別として、ツアーで団体行動をしていれば、個人的に何かトラブルに巻き込まれるケースも少なく、添乗員がいれば通訳も兼ねてくれるので安心です。しかし自由時間やホテルなどでは助けてくれる人がいなくなるので注意しましょう。
旅の予算計画が立てやすい
パックツアーの料金には旅行の大半の料金が含まれています。現地ではちょっとした飲食代やお土産代程度で済むので、予算計画が立てやすいのがメリットと言えます。個人旅行と比べると価格は少し高めですが、安心して旅行が楽しめます。
事前調査が少なくて済む
旅行自体を丸投げできるので、事前調査や現地の情報を調べたりする手間が少なくて済みます。おすすめのグルメや観光スポットなどは、旅行会社の方が詳しいといえるでしょう。
添乗員同行パックツアーのデメリット
自由度が低い
ホテルや観光地など、旅程の中にあからじめ決められているため、お気に入りの場所だけチョイスしたりということが難しくなっています。興味のない観光地などが含まれていても、我慢して回る必要があります。
自分のペースで動けない
パックツアーは基本的に団体行動なので、自分勝手な行動はできません。遅刻や身勝手な行動は、他のツアー客の迷惑になります。「ここにもう少しいたい」「ここはつまらないからもういい」など、自分のペースで行動できないのがネックと言えます。
他の旅行者と一緒に行動する必要がある
パックツアーの場合は団体旅行が多く、ご自分以外にも複数のグループが一緒になって行動することがあります。気が合う人や気にならない人ならいいですが、「DQN系」や「自分勝手系」、「時間にルーズ系」などさまざまな人がいるため、ストレスの原因になることも考えられます。
スケジュールが過密で大変なことも

旅行内容によっては、短い時間であちこち回る欲張りなツアーもあります。せっかくお気に入りの観光地に到着しても、十分に楽しむ前に次のスポットへ行かされたりするなど、観光と言うよりは作業をさせられているような感覚になります。
コースによっては「がっかり」することも
観光地めぐりは、その旅行会社や担当者のセンスによっても変わってきます。まあこれは自分自身の問題もあるのですが、「想像していた場所じゃなかった」「思ったより大したことなかった」と、期待外れでがっかりだったというケースもあります。決定する前に回る観光地についてはネットなどで下調べしておきましょう。
安いツアーではやたらと土産物店に連れていかれる
格安ツアーであればあるほど多くなるこの問題、観光地を回る時間はわずかなのに、土産物店ではしっかり時間を取ってあるパターンが多く、旅行者の悩みの種です。土産物店から旅行会社へマージンを支払っているため、強制的にツアーの中に組み込まれています。
海外旅行のフリープランとはどんなもの
海外旅行のフリープランとは、添乗員が同行せず航空券とホテルだけ旅行会社で予約するタイプの形態で、現地に到着してからは自由に行動できるというもの。空港からホテルまでは無料の送迎サービスがあるものもありますが、その後は自分で好きなように散策できるプランです。
フリープランのメリットとデメリット
フリープランのメリット
個人旅行に近い気ままさが味わえる

パックツアーの場合はぞろぞろと添乗員に連れられる団体旅行ですが、フリープランの場合は最少催行人員というものがありませんので、参加者は自分たちだけということになります。自由行動なら周りに気を遣う必要もなく、自由に行動できるのがメリットの1つです。
行きたい場所に行ったり、食べてみたいグルメを堪能したりと、観光客が普段行かないようなディープな場所を経験してみてもいいのではないでしょうか。
さまざまなオプションを追加できる
フリープランの場合は、旅行会社が催行しているオプショナルツアーを追加させることができます。例えば「ここだけは絶対に行っておきたい」という場所でも、ホテルから遠く離れていると自力アクセスするのも大変です。
そのため自由行動の一部にオプショナルツアーを組み込むことで、一部を現地スタッフにお世話してもらうということも可能です。
フリープランのデメリット
自力で行動する必要がある
移動も食事、観光などは自力で行う必要があり、ある程度言葉やコミュニケーションを取ることは必要になります。そういうハラハラドキドキも旅の思い出の1つとなりますが、ガイドや添乗員もいないので注意しましょう。
遠くへのアクセスが難しい
フリープランの場合は、基本的に1か所滞在型プランが大半です。このため遠くへのアクセスが難しいのがネック。例えば日本の大阪を拠点に滞在した場合、自力で北海道や九州へ行くのは難しいですよね。
それと同じで拠点付近で行動しなければならないのがフリープランのデメリットと言えます。しっかりその街や周辺だけを散策したいという目的があれば別ですが、例えば都市を移動しながらヨーロッパのあちこちを旅したいというのであれば、旅程が組み込まれているパッケージツアーを選ぶようにしましょう。
海外の個人旅行とはどんなもの
個人旅行はその名の通り、旅行の計画から段取り、航空券やホテルの予約、現地調査などを個人で行います。完全自由設計ですし、現地でつまらないと思えば急きょ予定を変更したりもできます。
時間に左右されず、自由気ままで行きたい場所に行けるなどといった特徴がありますが、移動や宿泊、食事などはすべて自分で行う必要があります。
国内であれば、このような形態で旅行される方も多いですが、海外で個人旅行を行う最大の壁は言葉であり、片言でもコミュニケーションが取れるくらいの英語力は欲しいところです。
個人旅行でのメリットとデメリット
個人旅行のメリット
自由きままに行動できる
とにかく個人旅行は周りに左右されないことです。ちょっと食事がしたくなったり、ここへ寄りたくなってもサッと寄ることができます。気に入った観光地があれば長い時間楽しむこともできますし、つまらなければ予定を変更することもできます。
飛行機の日程やホテルなど自由に選べる
パックツアーでは飛行機の日程やホテルなどは組み合わせの中から選ぶことになるので、なかなか自分の思い通りにできないこともりますが、個人なら組み合わせは自由自在です。
旅行予算が自由・日程が長期なほど割安になる場合も
旅行会社が外すような2つ星以下のホテルでは、泊まる料金がとても安く、特に長期なればなるほど割安になります。移動も列車やバスなど公共交通を使えば、旅行の予算を抑えることが可能です。
個人旅行のデメリット
計画から手配・現地の交渉まで全部自分
もちろん個人旅行ですから、誰も助けてくれません。旅行の計画から航空券やホテルの手配、現地での交渉ややり取りもすべて自分で行います。言葉の壁もありますし、常に考えておく必要があります。
全て自己責任・自分の身は自分で守るしかない
ツアーなら言われるがままいついていけば目的地に到着しますが、個人旅行では道に迷ったり、目的地に到着できないトラブルも考えられます。また治安の悪い場所に行けば、身の危険にさらされる可能性もあります。自分の身は自分で守るしかありません。
短期旅行だとツアーに比べて割高になることも
1週間以内の旅行を考えている方は、ツアーよりも個人旅行のほうが割高になるケースがあります。
それぞれのメリットとデメリットをおさらい
旅行の種類 | 旅程 | 添乗員同行 | メリット | デメリット |
添乗員同行パックツアー | 飛行機・ホテル・食事・観光など 旅程が全て決まっている | 日本から(一部海外から) | ・不安が少ない ・効率よく観光できる ・言葉が話せなくてもOK ・危険な目に遭う可能性が低い ・予算が立てやすい | ・自由度が低い ・自分のペースで行動できない ・他の参加者の配慮 ・過密スケジュールで疲れる ・興味のないところも回る |
現地ガイド付きパックツアー | 飛行機とホテル、一部の食事と観光が決まっている | 海外から現地日本語ガイド | ・価格が安い ・個人旅行のような気軽さ ・送迎など最低限のサービス ・拠点から離れたアクセスも可能 | ・添乗員同行に比べると不安要素が増える ・一部は自力での行動 |
フリープランツアー | 飛行機とホテルのみ、あとは自由行動 | なし | ・飛行機とホテルの組み合わせが多い ・価格が安い ・個人旅行のような自由度 | ・言葉などコミュニケーション ・計画を練る必要あり ・交通手段も自力で確保 ・拠点近辺しか行動できない |
個人旅行 | 自分で決める | なし | ・どこに行くにもプラン自由 ・行き当たりばったりの旅が可能 | ・現地の言葉は必須 ・旅程から身を守る手段はすべて自分 |
海外旅行初心者なら添乗員同行のパックツアーがおすすめ
これから初めて海外旅行に行くという方や、何度か行ったことがあるけど、やっぱり何かと不安という方は迷わず添乗員同行パックツアーを選ぶようにしてください。フリープランや個人旅行はどちらかというと海外慣れした中長期旅行に適した方法です。
どうしても個人旅行的なことをしたいというのであれば、フリープランで航空券とホテルなだけ決めておき、終日自由行動というプランにしておけば、ある程度散策は自由に行えます。
また最近では、より個人旅行に近い計画でツアーが組めるダイナミックパッケージと呼ばれるプランが旅行会社からも出ています。少しでも自由度の高い旅行を組みたい場合には利用してみるといいでしょう。
パックツアーでもフリープランに近い形態のものもある
近年では団体旅行のようにぞろぞろ歩いて行動するフルパッケージプランは敬遠されがちで、フリープランのような形態で現地スタッフやガイドが一部観光案内するタイプのプランが増えてきました。
このような場合は最少催行人数が不要で、より個人旅行に近いパッケージツアーということで人気があります。旅程の一部を自由行動に変えたり追加すれば、初日・2日目・3日目はガイド案内で観光や食事を楽しみ、4日目は終日自由行動… という組み方も可能です。
海外旅行パックツアーと個人旅行の違いまとめ
- 添乗員同行は自由度の制約はかかるものの、安心して旅行できる
- フリープランでは安く、自分の行きたい場所へ自由行動ができる
- 個人旅行は完全に自由だが、トラブルなど不安要素も大きい
- 短期ならツアーが、1ヶ月など長期旅行なら個人旅行が割安
- 初心者の方は迷わずパックツアーを選ぶとよい
海外旅行初心者でいきなり個人旅行というのは、ハードルが高いとも言えます。できれば安心で安全なパックツアーを使って旅行に行かれることをおすすめします。最近では各旅行会社でさまざまなプランが出ていますので、思っているようなプランが見つかるかもしれません。