みなさんは飛行中の飛行機内の湿度ってどれくらいなのかご存知でしょうか。温度はそれなりに快適ですし、「密閉空間で乗客も多いから、ムンムンに湿気があるのでは」と思われがちですが、実は飛行機の中はとても乾燥しています。ここでは、飛行機が乾燥する理由のほか、乾燥対策についてもご紹介していきましょう。
飛行機の中の湿度は10~20%
飛行中での飛行機の中の湿度は、一般的に10~20%に保たれています。私たちは温度に関しては割と敏感に意識しますが、湿度に関してはあまり関心がない人が多いようです。
湿度20%以下というのは、日本の自然界でもあまり発生しないほどの低湿度です。夏場のジメジメした湿度は70%以上、快適(肌によい)と感じる湿度は50~60%前後、空気が乾燥していると言われるのは概ね湿度が40%以下になることを言います。湿度20%以下というのはかなりの低湿度であり、冬場などで空気が乾き、乾燥注意報が出る日でも湿度が20%以下になることは稀です。
フライトが長距離になる場合は、湿度が5%程度になることもあり、非常に乾燥した状態で何時間も過ごすことになります。
なぜ飛行機内の湿度をそんなに低くしなければならないの?
飛行機内を低湿度にする理由には結露が関係しています。通常飛行機は上空10,000メートルを飛びますが、そのときの外気温はマイナス50℃にもなります。
飛行機の中の温度をマイナス50℃にしてしまうと中の人が凍えてしまうので、エンジンの熱を利用して暖房を使っており、飛行機の中は約25℃程度に保たれています。
しかし、外気と機内の温度差は実に70℃以上にもなります。それだけ温度差があると容易に結露が発生し、飛行機の中が水分でベタベタになってしまいます。(暖かい部屋に冷えた水を入れたコップを置くと水滴がつくのと同じ)
飛行機の中が結露してしまうと、床や壁が濡れてしまうだけでなく、重要な精密機器やシステムが水に濡れて不具合を起こしてしまう可能性があり、水分による錆や腐食などで飛行機の強度が低下することも考えられます。
このようなリスクを防止するには、飛行機内の湿度を下げて空気中の水蒸気量が少なくし、大きな温度差があっても結露しにくい環境にしなければなりません。このため飛行機内は低湿度に保たれているのです。
ですから飛行機の中でキンキンに冷えた水やビールのコップを置いておいても、コップの表面に水滴がつくことはほとんどありません。湿度が少ないため結露が生じにくいからです。
飛行機にとって良い低湿度も、人にとっては危険がいっぱい
低湿度は命を預けている飛行機の劣化やトラブルを防ぐために必要なことですが、私たち人にとってはたまったものではありません。人間が長時間低湿度にさらされると、さまざまな影響や異変が現れます。
口や鼻など粘膜の乾燥
空気が乾燥すると口や鼻などの粘膜も乾いてしまい、喉がイガイガしたり、口の中が乾燥したり、鼻が痛くなるなどの症状が現れます。
肌はカサカサ・髪はパサパサ
口や鼻と同じく、肌や髪への影響も大きくなります。髪がパサパサになってしまったり、肌が突っ張って化粧の乗りがとても悪くなってしまう「ドライスキン」になりやすくなります。
ウイルス感染の危険
冬や乾燥した時期は風邪やインフルエンザにかかりやすいというように、低湿度ではウイルスが活発に動き回り、呼吸器系の粘膜が乾燥することで防御機能が低下し、余計に風邪や病気に感染するリスクが高くなります。
体からの水分蒸発が激しくなる
低湿度になると、体からの水分蒸発量が多くなります。気温も低いので汗をかかないのも原因で、気が付かないうちに脱水症状を起こしてしまったり、エコノミークラス症候群を発症する場合もあります。
飛行機内での乾燥対策
安全上飛行機の中の湿度を上げることはできませんので、いろいろな対策を行って自己防衛するしかありません。飛行機を降りてからから体調不良になってしまったら元も子もありませんから、しっかりと対策するようにしましょう。効果的な飛行機内での乾燥対策を挙げてみました。
こまめな水分補給
まずは体の中の水分量を不足させないようにすることが、乾燥を防ぐ最も効果的な方法です。水分補給は口や喉の乾燥を防ぐだけでなく、脱水の予防のほか、むくみやエコノミークラス症候群の防止にも役立ちます。
目安としては1時間に約150mlの水をチビチビ飲むが効果的ですが、コーヒーやお茶(緑茶など)、アルコールは利尿作用があるため逆効果です。お水やお湯をゆっくりと飲むようにしましょう。客室乗務員に少しずつお水を頼むのも大変ですので、フライト時間×100mlを目安に、飛行機に乗る前にペットボトルの水を買っておくのも手です。(安全検査後)
マスクの着用
マスクの着用は、喉や鼻の粘膜を保護するだけでなく、ウイルスなどの感染を防ぐ役割もあります。せっかく旅行に出かけたのに、旅先で風邪をひいてしまったら台無しですよね。
飛行機内は密室なため、変な病気をもらう可能性が高くなりますので、マスクの着用はおすすめです。普通のマスク以外に、保湿効果が高い濡れマスクなども効果的ですのでチェックしておきましょう。マスクがなければ濡らしたおしぼりを口に当てておくだけでも効果があります。
目薬
フライト中に本を読んだり、ゲームや動画などを見て楽しむ人はドライアイになりやすいので目薬を持参するとよいでしょう。
肌の保湿対策
できるだけ厚い化粧は避け、保湿クリームなどをしっかりと塗って肌の乾燥を防ぎましょう。レッグウォーマーなどを使えば首周りの保湿ができるほか、寒さ対策にも効果的です。長時間のフライトなら思い切って化粧を落としてしまうのもよい方法です。唇や手もカサカサになるので、リップクリームやハンドクリームなど、機内に持ち込める範囲内で準備するとよいでしょう。
テーブル周りに濡れタオル
テーブル周りにおしぼりや濡れタオルを置いて加湿する方法。他の情報サイトなどでも紹介していますが、密閉空間ではないため、それほど大きな効果は期待できません。ただ、驚くべき速度でタオルが乾いていくのがわかると思います。
コンタクトレンズは外しておく
乾燥は目にとっても影響が大きく、ドライアイになりやすくなります。空港内でコンタクトレンズは外しておき、機内はできるだけ眼鏡で過ごすとよいでしょう。
飴をなめる
飴は唾液の分泌が促進されるため、喉の乾燥を防ぐ効果があります。甘い物より酸っぱいもののほうが効果が高いので、水を飲むのと併用しながら飴をなめましょう。
いくつか挙げさせてもらいましたが、こまめな水分補給とマスク、女性の方は肌への保湿をしっかり行っておけばOKです。
飛行機内での乾燥対策まとめ
- フライト中の飛行機の中は湿度が20%以下になる
- 飛行機内の結露を防ぐために低湿度に保たれている
- 低湿度は脱水や粘膜の乾燥・ウイルス感染など体へのリスクが高くなる
- こまめな水分補給とマスクが効果的
- 化粧は薄めにして保湿対策をしっかりしておく
安全上飛行機の中を湿度を高くすることはできないため、個人レベルでの防衛策をしっかりしておくことが大切です。上記を参考にしながら乾燥に耐えられるように、準備を整えておきましょう。