海外旅行保険にはどんな補償がある

海外旅行保険に加入するとさまざまなトラブルに対して一定の保険料が支払われます。しかし、条件やトラブルの種類によっては支払われないケースも多くあります。
プランによって実に多くの種類の補償がありますが、ここでは注意点やポイントも含め一般的な補償内容を実例も入れながらご紹介したいと思います。

傷害死亡補償

傷害死亡補償とは、海外旅行中に事故により死亡した場合に、保険料が支払われます。その時は大けがなどで生存していた場合でも、帰国後一定期間内にそのけがが原因で死亡した場合でも保険料が支払われます。

傷害死亡補償に適用される可能性としては交通事故、犯罪の巻き込まれなどが挙げられますね。支払われる金額は保険料によって変わりますが、1,000万~3,000万円程度が相場です。

疾病死亡補償

疾病死亡補償とは、海外旅行中に病気により死亡した場合に保険料が支払われます。その時は一命をとりとめたとしても、その後一定期間内にその病気が原因で帰国後死亡しても保険金が支払われます。

例えば、旅行中に心筋梗塞になり緊急入院したが、2日後に死亡というケースなどが該当します。安い海外旅行保険や、クレジットカード付帯の保険にはこの補償が付いていない場合が多く、単に死亡補償なら何でも補償してもらえると勘違いしている人も多いようです。傷害死亡と疾病死亡は違うと認識してください。

後遺症補償

海外旅行中に事故に遭い、一命はとりとめたものの、帰国後も後遺症が残ってしまった場合に、その程度に応じて保険料が支払われます。例えば旅行中に崖から落ちて脊椎を損傷し、車いすの生活になってしまった場合などが挙げられます。
支払われる保険金は後遺症の程度に応じて~100%の間で支払われます。

治療費用

海外旅行中に病気やケガなどにより、現地の病院で治療や入院をした際に、その費用に対して保険料が支払われます。例えば、旅行中に風邪をひいて熱がでてしまい、病院で診てもらったなどのケースは該当しますね。

保険会社によってはキャッシュレス(お金がかからない)病院を紹介してもらえ、保険証を見せるだけで高額な治療費が不要なサービスもあります。

また、緊急を要する場合は一旦自分で治療費を立て替え、診断書や領収書などをもらっておけば、後から保険会社に請求することも可能です。

基本的に治療費の100%を補償してもらえますが、歯科や鍼(はり)灸(きゅう)マッサージなどは補償対象外になる場合がほとんどです。
治療費用の限度額は1,000万~2,000万程度の補償額になっているものが一般的です。

賠償責任補償

賠償責任補償とは、他人を傷つけてしまったり、他人のものをうっかり壊してしまった場合などに補償してもらえる保険です。 実例としては以下のようなものがあります。

  • ホテルの備品を壊してしまった
  • お店に置いてある商品を落として壊してしまった
  • 街を歩いていて他人とぶつかり、相手に擦り傷を負わせてしまった
  • スキー中にぶつかって、相手を骨折させてしまった
  • レンタルした携帯電話を盗まれて、レンタル会社に弁償した

など、故意ではなく過失により、弁償しなければならないことが発生した際に保険料が支払われます。場合によっては弁償額が高額になることもあるため、各保険会社も賠償補償だけは限度額が高額になっています。限度額は5,000万円~1億円程度。

救援者費用

救援者費用とは、自分が遭難などして捜索・救助してもらう費用を補償してもらえます。現地の病院で入院などをした際、家族を呼び寄せるための費用(旅費やホテル代)なども支払われます。
限度額はトータルで1,000万円~2,000万円程度です。

携行品損害補償

携行品損害補償とは、自分の持ち物を落下させて壊してしまったり、盗難に遭った際に補償してもらえる保険で、海外旅行中の身近なトラブルとしては最もお世話になる補償の1つですね。

使っていたカメラやスマートフォンを落下して壊してしまったり、バッグが盗まれたりした際に補償されます。紛失や置き忘れなどは補償の対象になりません。

しかし、この補償は荷物(品物)に対してのみ適用されます。例えば、財布が盗まれた場合、中の現金やカードなどは補償されないため、「10万円が入った財布を盗られた」と主張しても、財布の分しか補償されません。(それが100円ショップの財布だったら、MAXでも100円しか戻ってこないということになります。)

また、1つの商品につき補償される限度額が決まっているので、20万もする一眼レフカメラを落としてしまった場合でも、限度額までしか補償されません。極端な例では500万もする高級腕時計を落としても、わずかしか補償されないのでご注意を。

限度額は1点につき5~10万円が相場で、総額の限度は20万~50万程度とされています。

航空機遅延補償

さまざまな原因で飛行機の出発が遅れた場合に対して補償される制度です。飛行機の出発が遅れる原因としては、天気による欠航・運休や、大幅な遅れなどが挙げられますね。またオーバーブッキングなど、予約の不備で乗れなかった場合も含まれる場合があります。

通常1~数時間程度の遅れでは支払われず、一般的には6時間以上の遅れ又は次の日の便になるような場合が対象です。

これ以外にも飛行機の遅れにより乗り継ぎができず、経由地で一定時間以上待たなければならない場合などにも補償されます。

補償される内容としては、宿泊費・食事代・通信費・宿泊施設までの交通費などが対象です。限度額があるので「自分は高級ホテルじゃないと泊まれないよ!」と言ってもダメです。相場は1~2万円程度が支払われます。

航空機寄託手荷物遅延補償

名前が長いですが、要はロストバゲージやディレイトバゲージに対する補償です。さまざまな理由で、飛行機の預け荷物の到着が遅れた場合に、保険金支払われます。

海外の目的地に到着して、預けた荷物がどこかへ行っていたら大変ですよね。とりあえず、下着や身の回りのもの、洗面具や服などは現地で調達しないといけません。その時に現地で調達した費用が補償してもらえます。

と言っても、最低限必要な物に限られるので、財布やバッグなど関係のないものを買っても補償されません。また、遅れが一定時間(一般的には6時間以上の遅延)が必要なので、数時間遅れで届く場合には支払われないことが多いようです。

プランによって変わりますが、限度額は5~10万円程度が相場なようです。買ったレシートや遅延証明などが必要です。

保険金が支払われないケースも多いので注意

上記では一般的な事例を基にご紹介してきましたが、実際には内容により保険金が減額されたり、支払われないケースもあります。

例えば、戦争やテロに参加して死亡したケースや、故意や重大な過失により(酒を飲んで暴れたなど)物を壊したケースなどは危ないですね。

妊娠や出産でも、基本的に治療費用は支払われないケースも多いので、臨月間近の旅行などは注意しましょう。そのほかにも保険金が支払われないケースがあるので、各保険会社で確認するようにしてください。

海外旅行保険とはまとめ

  • 海外旅行保険の補償の種類はさまざま
  • 死亡補償は傷害と疾病の2種類があるので要注意
  • 携行品補償は1点につき限度額があるので注意
  • ケースによっては保険金が支払われないこともある

まだまだ細かいものを含めるとたくさんありますが、大きくは以上のような補償の種類があります。海外旅行保険のプランによっては更に違うケースで補償されたり、対象外になっている場合もあるので、加入する前に各保険会社の内容を精査するようにしてください。安いプランは何かと制約があることが多いです。