海外旅行での免税の範囲

海外旅行の楽しみの1つに、免税店でのショッピングがありますね。ブランド品やお酒、たばこなど日本で買うと高い関税や酒税・たばこ税に加えて消費税もかかりますが、空港の免税店で買うとこれらは一切かかりません。

だったら買えば買うほどお得になる計算ですが、実は免税になる金額や数量が決められているのをご存知でしょうか。ここでは海外旅行時の免税の範囲についてご紹介いたします。

免税の限度は決まっている

免税店では消費税はもちろん、酒税やたばこ税、関税などすべての税金が免除されるため、たばこやお酒などをとても安く買うことができます。

例えば1カートン4,900円の煙草であれば3,200円程度で買うことができ、割引率はなんと3割引以上になります。

またお酒も日本国内で買う価格より1~2割程度安くなってるものが多く、これはありとあらゆる税金が免除になっているため、実質商品だけの価格で買うことができるのからです。

しかし無限に買うことはできず、免税で買うことができる量はあらかじめ決められています。

もし仮に無制限に買い物ができるのだったら、タバコも1,000カートン、10,000カートンと買って日本に持ち帰れば、オークションなどで売り飛ばしたり、よからぬことを考えるでしょう。そんなことをすれば日本のお店は成り立たなくなりますし、日本の税収も減ってしまいます。

ということで、タバコやお酒も含め、1人が持ち込める免税の範囲は決まっています。それもかなりシビアなので、安いからと言って買いすぎには注意する必要があります。

日本へ持ち込める免税範囲

日本へ持ち込みができる免税範囲は以下のようになっています。この範囲であれば一切税金はかかりませんので、免税店で買ったものをそのまま日本へ持ち込みが可能です。

たばこ

紙巻たばこ(普通に火をつけて吸うたばこ)は400本(2カートンまで)が免税です。加熱式たばこも400本分までは免税。葉巻たばこは100本、そのほかのたばこは500gまでが免税です。日本人が一般的に買う日本ブランドのたばこであれば、2カートンまでが免税と思ってもらえればいいでしょう。

お酒

アルコール度数や種類に関係なく、 1本760mlのボトル3本までが免税です。合計2,280mlまでになりますので、容量の少ないものなら3本以上でもトータルで2,280mlを超えなければOKです。あまり大量に買えないので、アルコール度数が高い高級ウイスキーやブランデーがおすすめです。

香水

香水は2オンス(56ml)までなら免税です。容量にもよりますが1瓶程度と考えておきましょう。

その他の品目

バッグや時計などは合計で20万円までになります。例えば10万円のバッグ・8万円の財布・5万円の時計などを買った場合、合計で23万円になりますので、一番金額の低い5万円分の時計に対して税金が必要です。 1点もしくは合計で20万円までというルールですので、30万円のバッグを買った場合は、30万円分すべてが課税対象になります。(30-20=10万円だけ課税対象という意味ではない)

つまり20万円以上のものは免税にならないということなので、1点買いでも20万円以下に抑えて購入しましょう。

合計1万円以下のお土産など

1万円以下のものは、合計額が1万円までなら免税になります。例えば、1つ2000円のクッキー5個や、1つ5000円の高級チョコ2個などです。合計で1万円を超えた場合は、足が出た分だけ税金が必要です。

上記の免税範囲は日本へ入国(帰国)する際のルール

上記でご案内した免税の範囲は、日本へ入国する際のルールです。つまり海外旅行を終えて、外国から日本の空港へ帰ってきた際に適用されるということですね。

海外旅行では一旦外国へ入国しますよね。日本の空港でも出国審査を通ればたくさんの免税店がありますから、買おうと思えばここでも買うことができます。

例えば、たばこをよく吸う人なら、日本から出国するときの免税店でタバコを買って、それを海外旅行中に全部消費してしまえば、また帰りの空港の免税店でタバコを買うこともできるわけです。(その空港に日本のたばこが売っていればの話ですが)

しかし注意していただきたいのが、行きの空港の免税店で買ったものは、一旦外国の免税範囲のルールが適用されます。日本なら免税範囲であるものの、国によっては免税範囲ではない場合もあるので注意してください。

たばこやお酒、香水に関しては、どの国も似たような制限ですが、たばこなどは国によって2カートンまでOKや、1カートンしかダメなど違います。うっかり2カートン買ってしまうと、1カートン分は税品を払わなければならなかったりしますので、その国に免税で持ち込めるものを事前に調べておきましょう。

免税の範囲を超えた場合、いくら払えばいいの?

免税の範囲を超えた場合は、きちんと超えた分の税金さえ払えば、いくらでも日本へ持ち込むことは可能です。

たばこの税金

たばこは1本あたり13円の税金が加算されます。1カートン(200本)の場合は2,600円が必要です。免税店で4,900円のたばこが3,200円で購入できても、免税の範囲を超えると(免税価格3,200円)+(税金2,600円)が必要になり、合計で5,800円も支払わなければなりません。日本国内なら普通に4,900円で購入できますので、買いすぎると損をしてしまいます。たばこを買うときは2カートンまでにしておきましょう。

お酒

お酒は種類によって課税額が異なります。

  • ウイスキーやブランデー:800円/L
  • ラム・ジン・ウォッカ:500円/L
  • リキュール:400円/L
  • 焼酎:300円/L
  • ワインやビールなど:200円/L

たばこと違ってお酒の税金はそれほど高くありません。ワインなどはどれだけ高級なワインでも1本(750ml)あたり150円程度の税金しかかからないので、日本では高くて手が出ないワインなどを海外でたくさん買って申告している人もいます。

例えば、日本なら1本5,000円もするフランスワインも、現地で買えば2,000円くらいで買えるかもしれません。それならたとえ150円の税金がプラスされても、トータルで十分安いといえるのです。輸入酒は銘柄の相場を調べておき、海外で買うのもいいかもしれません。

その他の品物

それ以外の品物については、一律して15%の税率が加算されます。ハンドバッグやジュエリーなどのアクセサリ、服や家電製品などが身近な物に挙げられます。

計算方法は市価×0.6×15%なので、10万円のバッグを買った場合、課税対象額は10万×0.6=6万円となり、この6万円に対しての15%、つまり9,000円が課税額となります。

その他の品物は免税額が合計で20万円までと決まっているので、20万円を超えた金額から計算されます。ただし1点で20万円を超えてしまった場合は、その商品は免税ではなくなります。例えば30万円の毛皮をコートを購入した場合、「20万円分は免税だから、30-20=10万円でOK」ではなく、まるまる30万円が課税対象となります。

関税がかからないもの

物によっては関税がかからないもの(無税)があります。海外旅行で身近な物としては腕時計があげられ、腕時計は関税がかかりません。しかし、消費税だけはかかるので、20万円を超えてしまっている場合は、超えた分の0.6×15%の税金が必要です。

例えば100万円のロレックスを購入した場合(羨ましいですね)

100万円×0.6=60万円、60万円の消費税は6万円なので、6万円を支払います。

関税はあくまで自己申告

海外旅行に慣れている人ならわかると思いますが、わざわざ税関で1人1人の荷物を調べたりはしません。免税範囲を超えた分の品物を買ったとしても自己申告であるため、ぶっちゃけた話、少々多めに買ったところで、申告しなければそのまま素通りできてしまうケースが大半です。

いちいち全員の荷物を税関でも調べてないですから「申告するようなものはないですか?」と聞かれ、「はい、ないです」と言ってしまえば、ほとんどの場合はそのまま通過できます。

個人の海外旅行の場合、そこまで厳格に取り締まりを行っていないのが現状です。

しかし、無申告(ウソ)がバレてしまった場合は、別室へ連れて行かれ事情聴取、罰金を含めて税金を払わなければならない羽目になるので、ごまかさずに申告はきちんとするようにしてください。

海外旅行の免税の範囲まとめ

  • 免税品は無限ではない
  • 酒は3本・たばこは400本まで免税
  • それ以外の商品は合計20万円まで免税
  • 免税範囲を超えてもきちんと納税すれば持ち込み可能
  • たばこは免税範囲を超えるとトータルで損をする
  • ワインなどは税金がやすいため、あえてたくさん買う人もいる
  • 持ち込みの申告は自己申告制だが、嘘はつかずにきちんと申告する

免税で持ち込める量や金額は決まっていますから、上記の範囲を守ってお土産などを購入するようにしましょう。免税範囲以上の商品を持ち込んでも、税金をちゃんと納めれば堂々と日本へ持ち込むことができます。

税関の係員も違反者に対しては厳しいですが、納税者に対してはできるだけ税金が少なくなるように計算してくれますから、分からない場合は積極的に質問してみましょう。