海外旅行のレストランや飲食店でのチップの払い方

日本人が面倒で困るのが海外のレストランや飲食店で支払うチップです。どんなタイミングでどのように支払えばよいのか… せっかくの美味しい料理も頭の中はチップのことばかり、これではゆっくり食事もできませんね。

ここでは海外旅行に訪れた際のレストランや飲食店でのチップの支払い方についてご紹介いたします。

どんな種類の飲食店にチップが必要なの?

飲食店と言ってもさまざまな形態がありますよね。一般的に注文を受けて料理を提供するレストトランもあれば、バイキング形式で自分で食べるスタイル、マクドナルドのようなセルフなどもあります。

テーブル係が接客してくれるレストラン

一般的なレストランがこれに該当します。日本でもスタッフの人がお冷を持ってきてくれたり、注文や料理の運搬、片付けなどをテーブル係の人がしてくれます。

海外の場合は自分担当のテーブルがあり、お客様の来店から退店まで1人のウエイターが専属で接客を行います。このようなテーブル係が常駐している一般的なレストランでは、ウエイターにチップを支払う必要があります。

自分で料理を取るようなビュッフェ・バイキングのレストラン

自分で好きな物を取って食べるというビュッフェスタイル。ほとんどがセルフで行っているように見えますが、席の案内、皿の取り換えなどはウエイターがしてくれています。特に後払い形式の場合はチップを含めて会計を行い、先払い方式の場合はチップをテーブルに置くなどします。

ホテルの朝の朝食などで、ミールクーポンで済ます場合は「不要」という意見も多いですが、席の案内や飲み物を持ってきてくれたりする場合は、退席時にテーブルに少額を置いておくとスマートです。

マクドナルドやスターバックスなどのファストフード店

カウンターで注文し、商品を受け取り、席取りから片づけまで全部自分で行うようなファストフード店、お持ち帰り専用などのお店ではチップは必要ありません。当たりを見回してウエイターがいないようなセルフサービスのお店なら必要ないと思ってください。

バーなど

お酒を楽しむバーなどでは、基本的にチップが必要です。1杯注文するごとに支払うスタイルもありますし、まとめて会計時にチップ分を加算して支払う方法もあります。

レストランでのチップの支払いの流れ

それでは、一般的な海外のレストランでの食事とチップ支払いの流れについてご説明しましょう。

レストランに入るとウェイターやウェイトレスが席に案内してくれます。最初に案内してくれた人が専属の係員となります。彼らはたくさんのチップがもらえるようにサービス精神満々で接客してくれるはずです。

日本のようにお冷は出てきません。最初にドリンクを注文し、その間にメニューを見て料理を決めておきます。ドリンクを持ってきたら、その時に料理を注文するのが基本です。

何か用があるときは、ウエイターが通りかかったときに声を掛けます。日本のレストランのように呼び出しボタンはなく、「すいませ~ん!」と大声で係員を呼ぶこともマナー違反となります。

日本ではいつまでたっても係員は来ませんが、海外の場合は、何も用がなくてもテーブル近くにちょこちょこやってきては、様子を見に来てくれます。 そのタイミングで何かお願いするようにしましょう。

食事が終わったらいよいよ会計です。

日本のレストランでは伝票をレジに持って行って、レジで精算するのが一般的ですが、海外ではテーブルで精算をするスタイルが多いです。食事を済ませて支払いをするには、ウエイターに「Check Please」(チェック・プリーズ)と言うと伝票を挟んだバインダーのようなものを持ってきます。まずは注文した料理と伝票が正しいかチェックします。

支払い方法1 伝票の金額に、チップ分を上乗せした金額を支払う

これが一番スマートな方法です。例えば料理の合計が50ドルであった場合、20%程度のチップ(10ドル)を上乗せして、60ドルを支払います。伝票にお金を挟んでおけば、ウエイターが勝手に取りに来ます。なかなか取りに来ない場合はそのまま退出してもOKです。

支払い方法2 お釣りをもらった後でチップ分だけ小銭で払う

高額な紙幣しか持っていない場合は、お釣りをもらってからチップを渡す方法でもOKです。例えば100ドル札しか持っていなくて、49ドルの食事をしたとします。100ドル渡して釣りをもらっても20ドル札2枚と1ドル札1枚でお釣りが戻ってきます。

それからチップで渡そうとしても、1ドルだと少なすぎるし、20ドルだと多すぎるということになり、こうなってしまうとチップにお釣りをもらうという恥ずかしい思いをしなくてはいけませんので、支払いの際に「お釣りは少額に崩してもらえませんか」と言えばOKです。

アメリカではほとんどないですが、ヨーロッパや日本人観光客が多いハワイ・グアムなどの飲食店ではサービス料があらかじめ上乗せされている場合があります。サービス料が込みになっているのに、さらに金額の15%や20%のチップを払うのは無駄と言えますが、知らない日本人客には「チップは?」と二重取りを行う悪質なレストランもあるようです。

サービス料が込みになっているかどうかは、伝票をよく見ればすぐにわかりますので、支払いをする前にチェックしましょう。

クレジットカードで支払いをする場合

近年では海外のレストランでもクレジットカードの支払いが多く、チップ用の小銭や現金を持ち歩く必要もないので、とても便利です。

「Check Please」(チェック・プリーズ)と言うと、同じようにウエイターが伝票を挟んだバインダーを持ってきます。クレジットカード払いの場合はバインダーにカードを挟んで、カードが見えるようにテーブルの上に置いておきます。

しばらくするとウエイターが気づいてバインダーとカードを持っていき、カード決済用の伝票を持ってきます。カード決済用の伝票は2枚1組になっていて、1つはお店用、もう1つは自分用(控え)です。

ここには料理の代金しか印刷されていませんので、チップの金額とトータルの金額、サインを書いて置いておけば完了です。必要なのはお店用の伝票だけですので、自分用と明細は持って帰ってください。

記入したバインダーはウエイターに渡してもいいですし、そのまま席に置いて退席しても構いません。控えとクレジットカードは忘れないようにし、またチップ金額記入欄は絶対に書くようにしてください。白紙にしてしまうと後から都合のいいように書かれて決済される可能性もあります。

レストランでのチップの払い方の注意点

チップの支払いを忘れないように

アメリカではチップはきちんとした収入・対価であり、小遣いではありません。よほど酷い対応をされた場合は別として、チップの渡し忘れ、相場以下などしないようにしてください。うっかり支払いを忘れると、食い逃げと同じように追いかけてくる場合もありますのでご注意を。あえてチップの金額を少なくしたり、チップを渡さない場合は正当な理由が必要です。例えば「料理を間違えて持ってきた」「料理をこぼされて服が汚れた」など、不満点をマネージャーに説明する必要があります。

サービス料込みになっている場合は、チップ不要?

アメリカではハワイなどでよく見かけ、ヨーロッパのレストランでは伝票にサービス料が含まれてくる場合があります。基本的にサービス料が込みになっていたら、チップ不要と思いますが、実は少額のチップを置いているレストランも見かけます。

これはケースバイケースですが、15~20%程度上乗せされているのならば基本不要と考え、素晴らしいサービスを受けたり、面倒なことを頼んでしまったときなどは気持ち程度を上乗せする感じでいいのではないかと思います。

チップを減額するときは「明確な理由が必要」

特にチップを収入としているアメリカやカナダなどは、相場以下のチップ(15%以下)だと、店を出た後に接客した店員が追いかけてくることがあります。「チップをもっとよこせ」ということではなく「どのような理由でチップを減らしたのですか?」と明確な理由を求めてきます。

例えば「なかなかテーブルに回ってこない」「頼んだものと違うものが来た」「態度が悪い」など、不快だったことを明確にする必要があります。

そもそも黙ってチップを減額して店を出ることは、マナー違反と言われており、普通はマネージャーや責任者などを呼んで、クレームを言うことが正しい抗議の仕方です。悪かった点を説明したうえで、10%や7%の少ないチップを置いてくることが理想的、よほどのクレームでもない限り、0%(ノーチップ)は避けなければなりません。

海外の生活に慣れ、言葉も巧みに話せるようになればこのような交渉も可能と思いますが、慣れない海外旅行では、なかなか流暢に説明することも難しいと思いますので、相場程度のチップを置いてくることが無難と言えるでしょう。

チップの計算は消費税などの税金を抜いた金額で計算する

チップは商品代金(料理代金)の金額に対して計算を行います。これは消費税などの税金を含みません。

例えば10%の税金がかかる国や州で20ドルの料理を注文した場合は、22ドル+チップが必要ですが、チップの計算は22ドルではなく、20ドルで計算します。相場が15%のチップであった場合は、20ドルの15%=3ドルで計算をしましょう。

海外旅行のレストランや飲食店でのチップの払い方まとめ

  • チップがいらないのは完全セルフのファストフード店かお持ち帰りだけ
  • ビュッフェスタイルでもチップが必要なケースが多い
  • 支払いは現金でもカードでもOKだが、カードのほうが楽
  • チップの支払いはうっかり忘れないように注意する
  • サービス料が込みになっているレストランもあるので二重支払いに注意

特にアメリカを中心にレストランではチップが従業員の収入源になっていますので、チップは忘れないように。テーブルで接客してくれる従業員がいるレストランではほぼ100%チップが必要と思ってもらえばよいでしょう。少額紙幣がない時はクレジットカードで支払う方がスマートです。

レストランのチップの支払いは一番頭を悩ますところですが、慣れてしまえばそうでもありません。チップのことばかり考えるとせっかくの料理も楽しむことができなくなりますので、今のうちの予備知識をしっかりつけておきましょう。