飛行機のオーバーブッキングについて

国際線を中心に、チケットの予約もちゃんとしたのに満席で飛行機に乗れないというケースがあります。これはオーバーブッキングと言って、座席数より予約を多く取ってしまうことで発生します。海外ではホテルもオーバーブッキングになることがありますが、飛行機でも同様のことが起きます。
ここでは飛行機のオーバーブッキングについてご紹介いたします。

オーバーブッキングとは

オーバーブッキング(ダブルブッキング)とは日本語で過剰予約という意味です。

一般的に航空会社では、定員割れを防ぐため座席数よりも多くの予約を取ります。過去の統計からキャンセル数を見越して、ちょうど満席になるように多めに予約を取るんですね。

例えば、300席乗れる飛行機に300人分の予約を取ったとします。でも実際は20人キャンセルが出てしまいました。それだとあと20人分を空席のままフライトしなければいけません。それだと航空会社が損をしてしまいます。

そこで過去のデータを参照しながら「今回のフライトではたぶんこれくらいキャンセルが出るだろう」と予測をして、人数分より多めの予約を受け入れます。今回のケースの場合なら320人分の予約を取るということになりますね。この状態がまさにオーバーブッキングと言えます。

この行為は法律的に違反ではなく、航空会社の利益確保のため免責として認められています。

見込みに対してキャンセル数が少ないと乗れなくなる

航空会社は行先・時間帯・シーズンなどであらかじめキャンセルになりそうな数を統計して予測し、できるだけ全員が乗れるように調整します。

しかし、予想に反してキャンセル数が少ないと、座席が不足になりオーバーブッキングになりますね。どれだけ予想をしっかりやっても、当日でキャンセル数が前後することはよくあります。

そうなると乗客数より座席数が足りないですから、必然的に誰かが乗れなくなるのは目に見えてますよね。電車みたいに「ちょっと立ち席でお願いします」なんてことは飛行機ではできませんから(笑)

オーバーブッキングしたらどうなる?

では実際にオーバーブッキングしたらどうなるのでしょうか。オーバーブッキングになる確率は国内線で0.01%、国際線では多くても0.1%までと言われています。統計するとそうなりますが、路線によってなりやすい便があるようなので注意が必要です。

実際にオーバーブッキングした場合に空港会社が取る方法を順に説明していきましょう。

ボランティアを募る

当然乗客全員分の席がないわけですから、航空会社はまず搭乗を譲ってもらえる乗客を探します。一般的には別便や振替便に乗り換えてもらう方法でお願いをします。ボランティアという名前になっていますが、協力金やマイルがもらえたり、振替便が翌日になる場合は寝泊まりする場所などは無償で提供してもらえます。

座席のアップグレード

ボランティアが集まらなかった場合は、空いている座席のアップグレードが行われます。例えばエコノミークラスが満席でも、ビジネスクラスはガラガラといった状態になることもあります。このような場合はエコノミークラスの乗客の一部が、ビジネスクラスへアップグレードされて案内されます。追加料金はもちろん不要ですが、座席のみがアップグレードされ、食事などのサービスはエコノミークラスのまま… という場合もあります。

アップグレード対象者は抽選というわけではなく、普段からその航空会社をよく利用しているマイル会員(特にゴールドやプラチナなどの上位会員)から優先してアップグレードされます。また複数より単身のほうが融通が利きやすいため、アップグレードされやすいようです。

また、チェックイン締切時間ギリギリでチェックインした場合に、「もう席がないのでビジネスクラスへアップグレードします」と言われることもあるようですが、一歩間違えると「もう満席で乗れません」と搭乗拒否される可能性もあるので、アップグレードを狙ってギリギリでチェックインをするのは避けたほうが賢明です。

搭乗拒否

ボランティア・アップグレードを行ってもまだ席が足りない場合は、航空会社は最終手段として搭乗拒否を発動します。搭乗拒否はチェックイン時に言われることもありますが、チェックイン後に呼び出されて宣告されることもあります。

どのように搭乗拒否をする人を選ぶかですが、会員以外・単身・乗り継ぎがないなどがターゲットになりやすいと言われています。ほとんどの場合はボランティアとアップグレードで事足りるケースが多いですが、本当に満席で搭乗者数が多い外国の人気路線になると、搭乗拒否になるケースもあるようです。

搭乗拒否は航空会社の正当な権利です。文句を言っても感情的になってもダメですし、訴えると言ってもこちらが負けます。

搭乗拒否になってもボランティアと同様に違う便の振り替えや協力金、宿泊ホテルの提供などはしてもらえます。

オーバーブッキングで搭乗拒否されないために

小遣いや寝泊まりする場所を確保してもらえるといっても、やっぱり予定通りの便に乗れないのは辛いですよね。ましてやこれから海外旅行に向かうときに拒否されたら… と思うととても不安です。オーバーブッキングで搭乗拒否されないための対策についてまとめてみました。

早めのチェックインで荷物を預けてしまう

チェックインの最後の方でオーバーブッキングになることも多いので、早めにチェックインしておくことをおすすめします。一度荷物を預けてしまえば搭乗拒否される可能性が低くなります。

予約レベルの高いチケットを買う

各チケットには予約のレベル(チケットの強さ)のようなものがあります。定価を払っている正規航空券が最強で、航空会社が発行する正規割引航空券は中程度、格安航空券などの安いチケットは弱くなります。価格は高くなりますが予約レベルの高いチケットを持っていることで、搭乗拒否を回避できる可能性が高くなります。

ボランティアにはどのような見返りがある

席を譲ってあげたボランティアには、航空会社から手厚い見返りがあります。どのようなものがあるのでしょうか。

協力金やマイルの提供

いわゆる「お金」ですね。航空会社によっても変わってきますが、同じ日の違う便(振替便)の場合は国内線で10,000円くらい、国際線だと20,000円くらいが相場です。その航空会社のマイルやサービス券になると、その1.5倍くらいの価格が提示されます。

1日1便しかない場合や、数日に1便しかないような場合は翌日かその次の便に振り替えられます。協力金も国内線では20,000円くらい、国際線だと30,000円以上が提示されることがあります。もちろんマイルやサービス券はその1.5倍くらいになります。

ホテル代やタクシー代の提供

振替便が翌日になるような場合は、寝泊まりする場所も航空会社が保証してくれます。ほとんどの場合は空港に付属している航空会社の系列ホテルに案内されることになりますが、空港から離れているホテルになる場合も、このときのホテル代やタクシー代はタダです。

よほどの理由がない限り、こちらから泊まりたいホテルなどを指定することはできません。

寝泊まりする場所は提供してもらえますので、例えば旅程を終えた帰り便などで、時間に余裕があればボランティアを名乗り出るのもよいでしょう。ただし海外の場合は言葉が話せるなどコミュニケーションが取れないと難しい場合もあるので注意してください。

LCCは基本的にオーバーブッキングがない

LCC(格安航空会社)は基本的にオーバーブッキングがありません。理由は簡単で、LCCの場合は一度発券したチケットはキャンセル不可になっていることが多いため、チケットを買ったお客が飛行機に乗っても乗らなくても、航空会社にとっては痛くも痒くもないからです。(キャンセルになっても、チケット代を払い戻ししなくてもいいため)

ですからLCCは座席数以上の予約を取ることはなく、オーバーブッキングにならないので安心です。

飛行機のオーバーブッキングについてのまとめ

  • オーバーブッキングとは座席数以上の予約を取ることを言う
  • 国際線のほうがオーバーブッキングが起きやすい
  • ボランティアによる振替便探しや座席アップグレードの措置がとられる
  • 最終手段として搭乗拒否される場合もある
  • 振替便になった場合は、協力金やホテル代が支給される
  • オーバーブッキングに引っかからないためには早めにチェックインを
  • LCCは基本的にオーバーブッキングがない

早めにチェックインさえしておけば、オーバーブッキングで乗れないことはまずありませんし、団体旅行などではまず大丈夫と言えます。急いでいない場合はボランティアを名乗れば思わぬ報酬をもらうこともできます。上記を参考にオーバーブッキングを理解しておきましょう。