海外旅行での腹痛・海外下痢症について

海外旅行の体調不良で特に多いとされているのが、お腹をこわしてしまうことです。
これらは旅行者下痢症とも呼ばれ、細菌や病原菌によるもの、慣れない食材の摂取、旅行によるストレスなどさまざまな原因があります。ここでは、海外下痢症の原因を中心に、海外旅行でできるだけお腹をこわさないためのポイントや注意点などをご紹介いたします。

旅行者下痢症とは

海外旅行に行くと、普段は下痢にあまりならない人もお腹をこわしてしまうことがあります。海外旅行時に発生するな腹痛や下痢のことを「旅行者下痢症」と呼んでいます。

主な症状としては腹痛やトイレの回数が増えたり、便がゆるくなるのが特徴。重症化すると嘔吐や筋肉痛など、いわゆる食中毒や食あたりに近い症状が現れます。

旅行者下痢症の発生率はとても高く、訪問する国や地域によっても違うものの、最大で旅行者の半数近くが下痢を経験することもあります。食中毒ではない腹痛の場合は、放っておいても1~2日で自然治癒します。病原菌などによるものは食中毒と同じく数日から1週間程度腹痛や下痢を伴う場合もあります。

旅行者下痢症の原因は

外国の水や食材に免疫ができていない

よく言われる「水や食べ物が合わない」がこれに当たります。海外旅行者の2~3割の人に症状が出ると言われていますが、その国の食材にしかない特有の細菌や微生物になれていないため、体内で処理できずに下痢になると言われています。強い香辛料や独特の油などを使用している料理も胃が対処できないため要注意です。

また、日本の水の硬度は軟水なのに対し、ヨーロッパなど海外ではミネラル分を多く含む硬水である場所も多いため、硬水が体が慣れずに下痢になることがあります。

海外に訪れてすぐに下痢になり、数日で回復した場合はこれに該当するかもしれません。

病原菌やウイルスによるもの

大腸菌やカンピロバクター、ノロウイルスなど、いわゆる食中毒によるものです。急な下痢や嘔吐、発熱など激しい症状が出ることがあり、下痢になる日数も長くなる傾向があります。

屋台など衛生面が劣悪な環境の場所で売られている食べ物を食べたり、火が通っていない生物、フルーツ、野菜などを食べると感染しやすいのが特徴。

先進国ではほとんど感染しませんが、中東・アフリカ・アジアの発展途上国、先進国であっても露店や屋台で売られているものは感染率が高くなります。

海外旅行の疲れやストレスによる免疫低下

海外旅行に行くと少なくとも疲れやストレスにより、体の免疫力が低下します。それに加えて海外の慣れない食材を口にすることで、下痢になりやすいと言われています。実際はこれらが原因で下痢になる人も多いようです。

海外旅行中に下痢になったときは

海外旅行中にひどい下痢になってしまったら、残念ですがホテルで安静にした方がいいでしょう。1日旅行が潰れてしまいますが、無理すると今後の日程が全滅する恐れもあります。また自由行動ならともかく、団体のツアーの場合は好き勝手にトイレに行くこともままならないので辛いだけです。

とりあえず水分補給をしながらホテルで安静にしましょう。食事も刺激的なものを避け、できるなら体に優しいような料理(パンやお粥など油が少ないもの)をルームサービスでとるのもよいでしょう。下痢止めなどを飲んで、その日はゆっくりしましょう。

粉のスポーツ飲料(水で薄めるタイプ)のものがあると、素早く体に水分が吸収されます。水道水は避けミネラルウォーターで作ってください。

下痢が1日程度でおさまったら活動してもOK

たいていの場合は、下痢や腹痛は1日程度でおさまります。(体が水や食材に慣れてきた感じですね)トイレの回数も減り、お腹の調子がよくなってきたら普通に観光やツアーに参加しても問題ないでしょう。ただし暴飲暴食はしないように注意しましょう。

発熱や筋肉痛を伴う下痢が何日も続く場合は

水のような下痢・嘔吐に加え、発熱や筋肉痛が長続きする場合は、食中毒や危ない病気に感染した恐れがあります。こんな場合は無理せずに医療機関で診察を受けましょう。 海外旅行保険に入っていれば、キャッシュレスで提携病院で診てもらうことも可能です。

海外旅行でお腹をこわさないためのポイント

手洗いは徹底的に

食事前・トイレの後、ホテルへ戻った際などの手洗いはしっかり行いましょう。すぐ手洗いができない場合はアルコール系のウェットティッシュなどでも効果的です。

水分補給はミネラルウォーターを

飲料水として飲む場合は必ずミネラルウオーターを買って飲むようにし、水道水やわけのわからない水は飲まないようにします。
日本人向けの軟水のミネラルウォーターはヴォルヴィックやクリスタルガイザーなどがおすすめです。

ジュースなどに入っている氷は要注意

氷は水道水で作られているものが多いので、レストランで飲料を頼む場合は氷を抜きにしてもらうようにし、氷が入ったものは注文しないようにしてください。

露店や屋台・汚い店での飲食は注意

海外旅行の楽しみである露店や屋台などの飲食。しかし特にアジアやアフリカ・中東では注意が必要です。衛生面が行き届いたレストランやお店などで食べれば安心です。

加熱調理されたものを食べる

先進国であれば、レストランで食べるサラダやデザート、マリネなどであればほぼ問題はないと思いますが、アジア諸国などでは、できるだけ生の食材は避け、十分加熱処理されたものを食べるようにしましょう。特に屋台や露店での飲食は、ただでさえ危険が伴いますので、加熱したものはもちろんのこと、加熱直後の暖かいものを食べるようにしてください。

体調管理と睡眠を十分とる

ストレスや免疫力の低下により、何でもない食材でも、お腹をこわしてしまうことも考えられます。旅行前から体調管理と睡眠は十分にとって、無理のないスケジュールで旅行ができるようにしてください。

海外旅行での腹痛・海外下痢症についてまとめ

  • 軽症・重症は別として海外旅行では多くの人が下痢になる
  • 先進国より発展途上国のほうが下痢になるリスクが高い
  • 下痢になる原因は細菌や合わない水や食材、ストレスなどさまざま
  • 多くの場合は1~2日で腹痛や下痢の症状は自然治癒する
  • 下痢になったらホテルで休息、ツアーを見合わせる勇気も
  • 食中毒に似た症状の場合は医療機関で診てもらう
  • 対策としては、手洗いを徹底し、水や氷・未加熱調理品などに気をつける
  • 屋台や不衛生な場所での飲食を避けることが大切

海外旅行中の下痢は誰でも起こる可能性がある身近な体調トラブルです。飲食や環境に気をつけていればかなり防ぐこともできますが、外界独特の食べ物に体が受け付けず下痢になる場合もあります。下痢になったら早めの休息と水分補給をしながら、回復するようにしてください。