ロストバゲージの補償について

ロストバゲージ 補償

飛行機の預け荷物がどこかへ行ってしまい、完全に紛失してしまうと、ロストバゲージ扱いになります。もし二度と荷物が見つからなかったら、航空会社はどんな補償をしてくれるのでしょうか。中身についても全額補償してくれるのか心配になりますよね。

ここではロストバゲージの補償についてご紹介いたします。

荷物が遅れるディレイドバゲージは原則補償してもらえない

ディレイドバゲージとは、何らかの原因で人と荷物が一緒に到着せず、荷物だけ遅れて来てしまうことを言います。よほどのことがない限り数日以内に荷物は戻ってきますが、海外旅行に行く途中で荷物がなかったら不便ですよね。

「楽しい旅行が台無しじゃないか!何とかしろっ!」となる気持ちは分からなくはありませんが、預け荷物の遅延による補償は原則ないのが一般的で、たとえ遅れても最終的に利用者の手元に荷物が届けば、航空会社は一切の責任を負わないことが、約款上契約で決められています。

しかし航空会社も鬼ではないので、例えば行きの海外旅行中であれば、歯ブラシや洗面具、下着、化粧品などを現地で調達した分は補償してくれたりします。「買い物して調達したいが、どこまで補償してくれのか」というのは、買い物をする前に聞いてみるといいでしょう。

また、見舞金としてお金を支給されるケースもあり、「これで遅れた分の必要最低限のものを買ってください」という意味。これも航空会社の裁量や、遅延した時間によって変わってきますが一時的な遅延であれば、見舞金1人あたり100USドルくらいが支払われます。

後の請求になるか、見舞金になるかは航空会社の裁量によりますが、後請求はレシートの添付などなにかと面倒なので、できれば見舞金にしてもらえないか交渉してみるのもいいと思います。

ロストバゲージ(完全紛失)の補償は?

頑張って探してみたけれど結局見つからなかった場合は、完全なロストバゲージとなり、これは航空会社の責任になります。通常は荷物が届かなくなってから1~2ヶ月経過し、どうしようもなくなると、航空会社から通知が来ます。

ロストバゲージの補償額ですが、どんなに中に高級なものが入っていたとしても、上限額は決まってます。上限額はワルソー条約やモントリオール条約などがあり、航空会社がどちらの条約に加入しているのかで変わってきます。

ワルソー条約では、1kgあたりおよそ2,000円が限度(仮に30kgの荷物を預けていたとして、6万円が限度となります。 (2020年現在)

モントリオール条約では、荷物1つにき17万円前後(変動する)となり、ワルソー条約より条件は良い条約になっています。 (2020年現在)

上記のように上限額は決められてはいますが、ある程度は航空会社によって差があるので、各航空会社のルールによって決められます。

補償金額の計算方法

上記では各条約や航空会社のルールに基づいて補償金額の限度が決められていますが、実際には上限いっぱいまで戻ってくることは少なく、申請した内容によって左右されます。

100万円のアクセサリーを買ったのにと言っても、もちろん全額は戻ってきません。下記の要領で限度額までの金額が支払われます。

現地で新品のお土産や物を買った場合

レシートがあれば、額面のほぼ100%の金額を補償してもらえる。レシートがない場合は申告額の30%前後。

着替えや生活品は原価償却扱いになるので、額面の20~30%程度

海外旅行に持っていった服や日用品のレシートがあれば提出してくださいと言われますが・・・「そんなもんあるかいっ!」と突っ込みたくなりますね。海外旅行のために新調したなら可能性あはありますが。

仮にヴィトンの高級バッグやロレックスの腕時計が入れてあって、それらの合計が100万だったとします。「額面の20~30%だから、30万円くらいは戻るのだろう」と考えてしまいますが、条約により上限は17万程度と決められていますから、たとえ1000万円のダイヤがなくなったとしても補償されません。

あくまで自己申告制なので、昔買った服や日用品の値段なんていちいち覚えてないと思います。結局のところ、しっかり申請したところで、だいたいですが1荷物当たり10万円程度の補償額になるのが一般的です。お土産に買ったレシートなどが残っていれば、その分をプラスしてもらえる感じですね。

日本の航空会社の場合は比較的スムーズに申請がはかどりますが、海外の航空会社の場合はメールなどでやり取りすることになり、基本は英語でしなければなりません。

実際にロストバゲージで相手の航空会社とやり取りした人に話を伺ってこの記事を書いていますが、「とんでもなく疲れる、こっちは悪くないのになんでこんなにしんどい思いをしなければ・・・」とのこと。それでもロス分のお金を取り戻すためにしなければならないので、結局大変だったという話です。

海外旅行保険の寄託手荷物遅延特約も使える

海外旅行保険の中には、預けた荷物が遅れたときに補償してもらえる「寄託手荷物遅延特約」がついているものがあります。

おおむね6時間以上遅延した際に、96時間以内に身の回りの品(洗面用具・下着など)の購入費用を補償してもらえる制度で、最大で10万円程度まで補償してもらえます。

残念ながら帰りのお土産などのロス分は負担してもらえませんが、航空会社の見舞金が出ないなどの場合は強い味方になる制度です。(航空会社から見舞金が出たり、後から請求できる場合は二十請求となるため、保険は使えません)

ロストバゲージの補償についてまとめ

  • 荷物が遅れるディレイドバゲージは原則補償されない
  • 補償の上限額は決まっており、航空会社によってばらつきがある
  • 新品はレシートがないと、額面の100%補償がされない
  • 生活品や中古品は二束三文、高級品と主張しても通らない
  • 結局のところはスーツケース1つにつき10万円程度の補償額が相場
  • 海外旅行保険によっては、補償を補うことも可能

荷物が完全に行方不明になるケースは非常に稀ですが、それでもなくなってしまうと大変です。しかし思ったほど補償されないケースもあるため、高級品や思い出深いものは必ず手荷物として客室へ持っていくようにしましょう。