免税店で買うと本当に何でもお買い得?

「私、海外旅行へ行ったら免税店でお気に入りのブランド品をたくさん買うわ!だってお得なんでしょ?」などとよく言うシーンがありますよね。
ところで海外旅行先の免税店って本当に日本で買うよりもお得なのでしょうか?ここでは免税の仕組みやお得なもの、そうでないものなどをご紹介したいと思います。

日本で売っている商品の税金とは?

免税店の話をするまえに、まず商品にかかる税金のお話をしたいと思います。 日本で売られている商品には、さまざまな税金がかけられています。最も身近なものは消費税で、軽減税率以外の一般商品の場合、10,000円のものを買うと、10%にあたる1,000円が加算され、支払いには11,000円が必要になりますよね。

ほかにも消費税以外に別の税金がかかるものがあります。身近な物でいうと「たばこ・お酒・ガソリン」などが挙げられますね。あまり意識していないと思いますが、実際どれくらい税金がかけられているのでしょうか。以下は、商品価格に対する税金の割合です。(2020年現在)

  • たばこ:1箱あたり309.42円(490円のたばこの場合)
  • ガソリン:1Lあたり53.8円
  • ビール:350mlあたり77円
  • 発泡酒:350mlあたり47円
  • 第3のビール:350mlあたり28円
  • 日本酒:1升(1.8L)あたり216円
  • ワイン:720mlあたり58円
  • 焼酎:700mlあたり175円
  • ウイスキー:700mlあたり280円

これを見るとたばこの税率がとんでもなく高いことがわかりますね。これは1カートンじゃなくて1箱の計算です。490円のタバコの内、6割を超えるの309.42円もの税金がかかっていることになります。税金がなければ1箱180円くらいで買えてしまうんですね。タバコ屋が儲からないのはここにありそうです。

話がそれてしまいましたが、ガソリンやお酒にも高い税率が設定されています、特にビールや発泡酒の税率が高く、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒の税金も高いことがあげられます。

輸入品にはさらに関税がプラスされている

ブランド物の輸入バッグやアクセサリなど、海外の製品ももちろん日本でも買うことは可能です。しかしこれらの商品には消費税とは別に関税と呼ばれるものがプラスされています。関税輸入した業者やお店が払うものなので、関税を私たちが直接支払うことはありません。

しかし結局業者は関税分を原価に上乗せした形で販売しているので、日本で買う輸入品が現地価格よりもやたら高い原因は、主に関税が大きな要因となっています。種類にはよりますが、輸入品の5~20%程度の関税がプラスされています。

例えば海外産の700mlワインを日本で買う場合、例として以下のように計算されます。

ワイン価格893円+関税49円+酒税58円=1,000円 + 消費税100円=総合計1,100円

つまり税金がなければ893円で買える外国産ワインも、日本で買うと税金だけで207円も余計に払わなければなりません。つらいところですが、日本に住んでいる以上仕方のないことですね。

免税店では何の税金が免税になる

さて、ここからが本題です。免税店はその名の通り「税金が免除されるお店」のことで、つまり商品の値段だけで税金を払わなくてもよいお店ということになります。まさに夢のようなお店ですが、免税店には大きく2種類があり、免税の範囲が異なります。

空港型免税店 ( Duty Free Shop )

空港型免税店は、主に国際空港の出国ロビーの中にある免税店で、通称DFSと呼ばれたりもします。空港型免税店では「消費税」「酒税」「たばこ税」「関税」の支払いが不要です。

免税店で買う=お得 というのはここから来ており、商品の値段が安いのではなく、余計に支払う税金が免除されているので、単に商品代だけで済むということになります。

お酒やたばこなどを買うときは空港型免税店で買うとかなりお買い得になると言えます。

消費税免税店(Tax Free Shop)

消費税免税店は別名「市中免税店」とも呼ばれており、空港ではなく街中や観光地の中にある免税店のことです。空港型免税店とは違い、免税されるのは消費税のみです。日本でも外国人観光客向けの消費税免税店がいくつかあり、大手の家電量販店やドラッグストア、雑貨店やディスカウントストア、百貨店などが免税を取り扱っています。もちろん免税できるのは帰国する外国人のみであり、日本の消費税免税店で日本人が買い物をしても免税にはなりません。

海外にある消費税免税店で買い物をする場合は、私たち日本人も外国人になるため、同じように消費税の免税が受けられます。

免税店で何を買うと一番お得?

では免税店で何を買うと一番お得なのでしょうか?答えは簡単で、日本でとても高い税率がかけられているもの、つまりタバコとお酒ということになります。お酒やたばこは海外でも税率が高いですから、どこの国にも属さない空港型免税店で買えば、商品の値段だけで買えるということになりますね。

まずタバコはとても安く買うことができます。1カートン4,900円のタバコでも、3,200円程度で購入できます。スモーカーの方にはたまらない価格ですね。ブランデー、焼酎なども安く買うことはできますが、日本の銘柄はお酒の激安ショップなどに行くとかなり安いものもあります。

できれば酒税や消費税のほかに関税もかかっている外国産ウイスキーを買った方がお得と言えますね。

ビールもお得とは言えますが、価格の割に場所を取りますし、まとめてビールを買うには少々面倒かと思います。実際お土産用以外のビールをそのまま売っている免税店はあまり聞いたことがありません。

ガソリンも魅力的ですが、さすがに海外旅行でガソリンを買うわけにもいきませんし、危ないので売ってません。

ブランド物を買いたい場合は事前に下調べを

免税店は単に税金が免除されているだけで、ディスカウントショップや激安ショップではありません。ですがいつの間にやら免税店=お得というのが定着してしまいました。

確かにタバコとお酒はお得に買えますが、それ以外のものは一概にお得とも言えません。

空港などにある免税店では高級ブランド物のショップも多いですが、定価販売が基本です。ですから、商品次第では国内のディスカウントストアやアウトレット店の方が安かったというパターンも十分考えられます。

例えば革のバッグの関税率は10%前後と言われていますので、ブランド物のバッグを免税店で買えば日本国内で買うより10%くらい安く買えます。しかし同じものを日本のディスカウントショップで15%引きで売っていたら、免税店で買うより安く買えるということになります。

「なんとなくブランド品が欲しい」という場合は安易に免税店で買うのはやめておきましょう。

ブランド物を狙うのであれば

  • 日本より定価が安い商品
  • 日本国内では手に入らない限定商品
  • 日本で買う相場価格がわかっている商品
  • 円高ドル安の時期

この4つが基本です。とにかく「日本で買ったらいくらくらいするのか」というのを把握しておき、それよりも安く買えるのなら購入、高ければ見送りをすればよいでしょう。最近ではネットで免税価格を調べることもできますので、効率よく調べてみましょう。

円高だとドルやユーロの価値が下がるので、海外旅行が安いだけでなく、ブランド物も安く買えます。

空港外にある免税店も利用しよう

空港によって違いはあるものの、空港内の免税店は規模が小さいものがあり、なかなか自分がお気に入りの品物が見つからな場合もあります。

海外では観光地や繁華街を中心に、外国人旅行者向けの免税店(Tax free shop)があります。事前にどこにどんなものが売っているか調べておき、そちらで買うのもおすすめです。

空港の免税店では基本的に定価販売ですが、空港外の免税店では割引されている場合もあります。
空港外の免税店では基本的にその国の消費税などが免除されます。 酒税やたばこ税は免税されませんので、空港外の免税店ではアパレルや雑貨などを買うとよいでしょう。

よくテレビなどで話題になっている「爆買中国人」も、家電製品などは都内の家電量販店の免税店で買っていますよね。あれと同じです。

免税店=空港と思わずに、滞在先に大型の免税店があるのかを確認してみましょう。

免税額は無限ではない

「タバコがそんなに安く買えるなら、大量に買って数年分は安泰?」と考えているのではないでしょうか?しかし免税範囲には限りがあり、例えばタバコなら200本(1カートン)まで・お酒は3本までなどと決まっています。

免税範囲を超えると、日本入国時にしっかりと税金を払わなくてはならないので、お得にはなりません。バッグや外国製品も免税になる範囲(金額)が決まっているので、免税枠を超える場合は別途税金を払わないといけないので注意が必要です。

詳しくはこちらもご覧ください。

免税店で買うと本当に何でもお買い得?まとめ

  • 空港免税店:外国の酒・日本のたばこ・価格調査済みのブランド物
  • 消費税免税店:服飾・ディスカウントされたブランド物・雑貨・家電など
  • たばことお酒は免税店で買うと確実にお得
  • 中途半端なブランド物は国内のショップの方が安い場合も
  • 免税店は激安ショップではない
  • 空港外の免税店の方が品揃えや価格が魅力的な場合もある
  • 免税範囲には制限があるので買い過ぎに注意

免税店でお得に買えるのは日本の税率が非常に高いお酒やたばこと言えるでしょう。また高い関税がかかっている輸入物のブランドバッグや化粧品などもお得に買えると言えます。

しかし、日本国内でも激安ブランドショップやアウトレット店などがたくさんあり、物によっては国内で買った方が安かったというケースもありますので、できれば日本のどこで買っても値段差のないブランド品を狙うといいですね。また免税範囲には制限があるので気をつけてください。